第一次ネオ・ジオン抗争(だいいちじネオ・ジオンこうそう)は、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』で舞台となったエゥーゴとネオ・ジオンの戦争である。「ハマーン戦争」とも呼ばれる[1]。
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戦争としては比較的小規模で、地球圏各地で孤立した部隊同士による戦闘が頻発、その混乱と無秩序は、正規戦争というよりは地域紛争に近いものがあった。
また各陣営の統制が緩く、個人の私的感情による単独行動・脱走・寝返り・反乱が続発。一騎当千の第三世代MSを有する個人が、組織の枠を超えた活動をして戦局をも動かすという、特異な戦争であった。
ティターンズ壊滅
グリプス戦役終盤、コロニーレーザー周辺のエゥーゴ艦隊はティターンズとアクシズの総攻撃を受ける。僚艦ラーディッシュが撃沈される中、アーガマ艦長ブライト・ノアはコロニーレーザーによる敵艦隊の一挙殲滅を画策する。
コロニーレーザーを発射させまいとハマーン、シロッコが自らのMS(キュベレイ、ジ・O)で妨害するものの、カミーユ、シャアらの活躍によりエゥーゴは発射準備が整うまでコロニーレーザーを守り切る。
宇宙世紀0088年2月22日、コロニーレーザーが発射されティターンズ艦隊は壊滅的な打撃を受けたが、アクシズは戦いがまだ続く事を察知し、主要な艦を撤退させていたため被害を最小限に食い止めた。シロッコは戦力の回復を狙って撤退しようとしたが、死者の魂を取り込んだΖガンダムの前に撃破され戦死した。そして、エゥーゴの勝利でこの戦争は終結した。
グリプス戦役、終戦
三つ巴の決戦に勝利したエゥーゴではあったが、最終決戦においてカミーユやクワトロ大尉、エマ・シーン中尉をはじめとする優秀なパイロットを多数喪失する。また、コロニーレーザーも破壊され、戦力の過半数を失うなど損害は大きく、戦後の主導権を確立するには至らなかった。
最終決戦において戦力の大半を温存したアクシズが、まさに漁夫の利を得る形で主導権を握り、戦いは第一次ネオ・ジオン抗争へと移っていくこととなる。
連邦政府及び連邦軍主流派はこの非常事態に日和見を決め込み、各都市・コロニーは孤立。地球圏は戦時統制下の戦争状態というより、さらに悪い秩序が崩壊した無政府状態に陥った。
以後、連邦は二度と威信と統治能力を回復することがなかった。
第一次ネオ・ジオン抗争へ
「ネオ・ジオン」僭称
グリプス戦役終結後、戦力を温存していたアクシズはサイド3(ジオン共和国)などを制圧し、勢力を拡大。アクシズの実権を握る宰相ハマーン・カーンはザビ家再興を図り、ミネバ・ラオ・ザビを掲げ新たなるジオン「ネオ・ジオン」を僭称する。
ネオ・ジオンは各コロニーへ進軍し、まずはコロニー制圧を開始した。なおこのコロニー進軍前後(つまり宣戦布告前後)に地球連邦軍教導隊の一部将校が起こした「ペズンの反乱」[2]において、月のエアーズ市から脱出したニューディサイズを回収、保護した上で廃棄予定だったモビルアーマー、ゾディ・アックを譲渡した上でニューディサイズを追撃してきたα任務部隊の足止めを行っている。
ただしネオ・ジオン側もグリプス戦役最終決戦で百式のメガバズーカランチャーによる攻撃で、先陣を切っていた貴重な熟練将兵を多数喪失していた。そのため、経験不足の若手将校を中心とした急編成部隊を中心に作戦を進めざるを得なくなっていた。
シャングリラへ
宇宙世紀0088年初頭、少年ジュドー・アーシタはサイド1の老朽スペースコロニー「シャングリラ」で暮らしていた。同コロニーの福利厚生政策はお世辞にも充実していたとは言えず、また彼の両親は出稼ぎに出たまま不在の状態だったこともあって、ジュドーは学校にはあまり通わず、生活費の捻出と妹のリィナ・アーシタを「山の手の学校」へと通わせる為、仲間達と共に犯罪すれすれのジャンク屋家業に精を出していた。
そんな折、グリプス戦役で疲弊したエゥーゴの巡洋艦アーガマが修理と補給のため、彼の住むシャングリラへと寄港する。ジュドーと仲間のビーチャ・オーレグらは、アーガマに所属するモビルスーツ(MS)Ζガンダムを盗み出し大儲けしようと画策する。彼らは、シャングリラに流れ着いたティターンズの敗残兵ヤザン・ゲーブルと共にアーガマに侵入するが、ジュドーは成り行きからΖガンダムに乗り込んでしまう。ヤザンのクルーに対する横暴に憤りを覚えたジュドーはΖガンダムで戦いを挑み、彼の乗り込むミドル・モビルスーツを撃退する。
アーガマの艦長ブライト・ノアは、初めてとは思えぬ操縦でΖガンダムを操るジュドーを見て、彼の行動にかつてのガンダムのパイロット達の面影を重ねる。
アーガマ、ネオ・ジオンと交戦
それと前後してシャングリラにもネオ・ジオンのコロニー先遣隊・巡洋艦エンドラが入港。同艦を率いるマシュマー・セロは自ら新型MSガルスJに搭乗し、アーガマを襲撃する。しかし、再びΖガンダムに乗り込んだジュドーがこれを退け、その後ブライトやファ・ユイリィの頼みもあり、ジュドーと仲間達はアーガマの乗員となる。
ΖΖガンダム始動
志願兵ルー・ルカにより、先駆けてコア・ファイターを受け取っていたアーガマは、シャングリラから出航した後ラビアンローズからエゥーゴの最新鋭機ΖΖガンダムを受領。メインパイロットとなったジュドーの活躍もあり、マシュマーとその増援に来たキャラ・スーンを撃退、キャラを捕虜にする活躍を見せ、ネオ・ジオンとのその後の戦いにおいて凄まじい力を見せる。
ムーン・ムーン
アーガマは補給の為、開発時代に作られ既に忘れられたコロニー「ムーン・ムーン」に寄港する。その際既に入港していたエンドラや、外界の技術と人間を忌み嫌うムーン・ムーンの先住民「光族」と交戦状態となるが、アーガマは見事エンドラを撃沈する。
アクシズ潜入
妹リィナを拉致され、救出のためアクシズに潜入したジュドーは、グレミー・トト配下のニュータイプの少女エルピー・プルの駆るキュベレイMk-IIと交戦。アクシズから脱出したアーガマは、月面都市グラナダで補給を受ける。なおグラナダにおいてキャラはアーガマを脱走、ネオ・ジオンに復帰する。
大気圏突入
ネオ・ジオンは、地球連邦本部のあるダカールに工作員を送り込み、事実上地球連邦議会は制圧されている状態だった。各コロニーの制圧をほぼ終えたネオ・ジオンは、ついに地球圏を完全に掌握するため地球への降下を画策する。それに対しエゥーゴはアーガマに追撃命令を下し、アーガマも地球へと向かう事となった。大気圏突入時に再びプルが来襲。ジュドーはZガンダムで迎撃するうちに大気圏に突入してしまい、大気圏突入能力のないプルのキュベレイMk-IIを救助する。そしてプルはアーガマの捕虜、というよりジュドーたちの仲間になってしまう。
ダカールでの地上戦
降下したネオ・ジオンにより地球連邦政府のあるダカールは占拠されてしまうが、グリプス戦役によって戦力が疲弊しきっていたエゥーゴと地球連邦軍はこれを食い止めることが出来ず、ネオ・ジオンは旧ジオン軍やティターンズ残党をも配下に収める勢いを見せる。更には、ミネバを担ぎ上げたパレードやパーティーを行い、力を見せ付けた。
一方、地球に降下したアーガマはネオ・ジオンを叩くためカラバと合流。ダカールを挟撃するため、ガンダム・チームは別行動を取ることとなった。ジュドーたちは迂回中に、砂漠で一年戦争終結よりザビ家復興を待ちつづけていたロンメル隊、アフリカ独立解放戦線、その分派でグレミーが率いることになった「青の部隊」等と交戦を続けることになる。
ガンダム・チームはカラバと協力してダカールを奪回するが、連邦首脳はすでにダブリンに脱出しており、ハマーンもそれを追ってダカールを離脱した。また、ジュドーはリィナと再会するが、ハマーンに撃たれたリィナは戦火の中で生死不明になってしまう(最終回で再会)。
ブライトとジュドー監禁
アーガマは、地球連邦高官たちに会うためダブリンに向かう。ネオ・ジオンにサイド3を与える事で和平交渉を結び、それに伴いアーガマも武装解除させると言う高官にブライトとジュドーは反発するものの、近衛兵に取り押さえられ地下牢に閉じ込められるが、モビルスーツに襲撃され混乱する最中、ファ・ユイリィに助けられる。
ダブリンへコロニー落とし
ネオ・ジオンは、マシュマー・セロ率いる部隊により、アイルランドのダブリンにコロニー落としを決行(この時は落下速度が低かったのか、コロニーが落着後もしばらく原形をとどめたまま直立していた。対岸のイギリス本土でも、ブリティッシュ作戦時のオーストラリアに比べて被害は少なかったようである)。その結果ネオ・ジオンは、地球連邦政府にジオン発祥の地であるサイド3の譲渡を認めさせる。
また、グレミーはこの戦いにプルのクローンプルツーの駆るサイコガンダムMk-IIを投入。両者は相手への「自己嫌悪」から激しい死闘を展開するが、機体の差でプルは破れ、死亡した。
ネェル・アーガマ就航
再び宇宙へ戻ったアーガマクルーたちに、地球に降下したアーガマに代わる新造戦艦ネェル・アーガマが与えられた。しかしエゥーゴの上層部は「子供」という理由のみで、主力パイロットであるジュドーたちの退艦を命令。一方的な命令に不満を抱いたクルーたちは、ジュドーたちの指揮の下ネェル・アーガマを強制出航させ、サイド3を目指す。
ネオ・ジオン内紛
一連の作戦で戦局は大きくネオ・ジオン側に傾いていたが、ネオ・ジオンもサイド3市民の支持を得られず、また内部は磐石ではなく、ハマーンの専横が急進的な親ザビ派による反発を招き、グレミー・トトを中心にした内乱が勃発。
グレミーが自らこそがザビ家の正当な後継者である(真偽は不明)と名乗り、グレミー派を立ち上げ小惑星アクシズを占拠しネオ・ジオンを二分。残ったハマーン派との間で内戦を引き起こす。なお、グレミー派で用いられたモビルスーツには、正規軍との識別を目的として、いくつかの機体でグレーの塗装が施された物が確認されている。
タイガーバウム
サイド3に潜入したネェル・アーガマは、ネオ・ジオンに襲われた難民船を救助する。だが、この船にはダカールでジュドーと出会い、興味を抱いたハマーンが自ら潜入していた。ネェル・アーガマは手近なコロニー「タイガーバウム」に入港するが、そこで好色な市長スタンパ・ハロイに女性メンバーとハマーンを含む女性難民を拉致される。ジュドーたちは、かつてのジュドーたちのような地元の不良少年ルナンたちと協力して彼女達を取り返すが、そこでハマーンと直接対峙、一戦を交える。
キケロ潜入
ジオン発祥の地「コア3(旧ズムシティ)」に接続される予定の鉱山小惑星「キケロ」に潜入したジュドーたちは、過酷な労働を強いられている労働者たちを説得、協力してネオ・ジオンを撤退させる事に成功。「キケロ」は自由な宇宙を目指して飛び去っていった。
ラビアンローズ沈む
キケロの一件で、ハマーンに傀儡というより邪険にされているミネバを見るに見かねたジュドーたちは、彼女を連れ出すべくコア3に潜入するが、ハマーンの「ミネバ様を連れ出すなら、撃ち落す」という脅迫により断念。 その間に、ネェル・アーガマをプルツーが駆るグレミー派の巨大MSクィン・マンサが襲撃。しかしラビアンローズがその盾となり、艦長代理エマリー・オンスともども撃沈。地球連邦艦隊と合流する予定だったネェル・アーガマは予定を変更、まずグレミー派を鎮圧するためアクシズへ向かう。
終戦
混乱極める中、グレミー派の拠点小惑星モウサ(アクシズの居住ブロック)とハマーンの本拠コア3は衝突して共に壊滅。かつてジュドーたちと会したマシュマー・セロ、キャラ・スーン(ネオ・ジオン本隊)、その他ラカン・ダカラン(グレミー派)など主だったパイロットや戦力も相打ちで消滅。またその期に乗じたガンダム・チームがクィン・マンサを倒し、搭乗していたグレミー・トトは戦死する(パイロットのプルツーはネェル・アーガマが保護する)。
ネオ・ジオンの残存兵力は四散し、ただ一人残ったハマーンは、アクシズ発祥の地であり己の故郷でもあるモウサの廃墟で、ジュドーに1対1の最後の決戦を挑み、激戦のうえ敗れる。ジュドーが救いの手を差し伸べるもののそれを拒み(グレミーの反乱の動きを見逃した事で自軍の敗北を悟り、この出撃の時点で既に死を覚悟していたと見られる)、そしてジュドーに未来を託しながら、キュベレイをモウサの壁に激突させ、絶命する。ジュドーは崩壊するモウサに一人取り残されるが、プルツーを通したプルのあの世からの誘導で脱出に成功。だが、プルツーもその代償として絶命した。
その後、主を失った旗艦サダラーンは連邦・エゥーゴ艦隊に投降。その際、ミネバ自身は影武者であることが判明、これらのことからネオ・ジオンの自滅的敗北によるエゥーゴの勝利という形で第一次ネオ・ジオン抗争は終結した。
統率者を失ったネオジオンの残存艦隊は各地に潜伏。あるものは反連邦系セクトらと結託しゲリラ化した。生き残った正規軍のうち最大派閥であるダンジダン・ポジドン少将を中心とする一派は、のちの「シャアの反乱」まで多数の戦力を温存する事となる[3]。一方、地上に残された戦力は宇宙への脱出を試みるべく各個に撤退を開始した。それを阻む連邦軍との激戦が各地で勃発している。
また、これとは別にハマーンの妹セラーナ・カーン外務次官を中心とする穏健派勢力は、連邦政府との和平交渉に臨んだとされている。しかし和平は決裂、セラーナは追撃してきた強硬派との戦闘で行方不明になったという[4]。
エゥーゴのその後
エゥーゴは、戦闘能力を失った地球連邦軍の正規部隊として組み入れられる形で発展的に解散した(主にロンド・ベル隊に配属されたと言われている)。このため、エゥーゴでも有数の艦隊指揮官であったブライト・ノアは連邦軍の指揮官に復帰し、のちの第二次ネオ・ジオン抗争で前線で活躍することとなる。
また、エゥーゴの主力パイロットに成長したジュドー、ルーの両名は、グリプス戦役後中断していた木星エネルギー輸送船団に参加し、ジュピトリスIIで月面フォン・ブラウン市から旅立つ。公式な記録ではないが、彼らと共に戦い抜いたΖΖガンダムも同時にジュピトリスIIに搬入されたという[5]。
劇場版『Ζ』での扱い
2005年に発表された劇場版『Ζガンダム』において、カミーユ・ビダンは精神崩壊せず、アクシズもミネバ・ラオ・ザビを極秘裏に地球へ留学させた後にアステロイドベルトへ撤退したことから、劇場版『Zガンダム』以後の歴史上で本抗争は発生しないことと考えられている(TV版『Zガンダム』から『ガンダムZZ』へ繋がる)。
しかし、アクシズが地球圏で連邦軍に所有されている『逆襲のシャア』との繋がりを考えると、『ガンダムZZ』で語られたものとは違う形での第一次ネオ・ジオン抗争があったと考えることができる。